生産管理を作ったのに、在庫はぼくが見に行っていた

納品書待ち画面の注文500個と生産1,500個。その差から、現場で確認していた在庫を生産管理へつなぐ改修に気づいた記録。

欲しい機能は、使ってから見えてくる

注文数は500個。それに対して、生産数は1,500個。自分で作った生産管理システムの納品書待ち画面に、この二つの数字が並んでいました。

差は1,000個です。ただ、この生産管理システムは、新しい注文の納期を確認し、いつごろ作り始めればよいかを見えるようにするために作ったものでした。在庫まで管理する考えは、ぼくの中にまったくありませんでした。

今になれば重要な機能だと分かりますが、作り始めた時点では見えていなかったのです。この1,000個を在庫として記録すれば、これまで現場へ見に行っていた在庫確認まで、今あるデータで仕組みにできる。画面を見ながら、そう気づきました。

以前は、頭と紙とカレンダーで追っていた

生産管理システムを作る前は、どの注文がどこまで進んでいるかを、ぼくが頭の中で把握していました。加工が終わったかどうかは標準工程書を見て、納品書を書く時期は納期カレンダーを見ながら判断していました。

頭の中でいくつもの仕事を追っていると、どうしても抜けます。今どこまで進んでいるのか、いつ終わりそうなのかを、もっと見やすくしたいと考えて作ったのが、今の生産管理システムです。

新規注文を登録すると、現場側の画面に特急品や「そろそろ作ってください」という候補が出ます。段取りをする人が製品と金型をプレス機へセットし、注文一覧から今から加工する製品を選ぶと、その注文は「加工中」へ移ります。

最終工程の最後の製品を作り、送信ボタンを押すと、「加工完了しますか」と確認が出ます。加工完了を押すと、その注文は「納品書待ち」へ移ります。ぼくはその一覧を見ながら納品書を書きます。

時系列表示では、複数の仕事がいつごろ終わりそうかも確認できます。頭の中だけでは十分にできなかった全体の把握が、画面でできるようになりました。これは自分でも、作ってよかったと思っている機能です。

在庫だけが、まだ画面の外に残っていた

一方で、在庫の管理は仕組みに入っていませんでした。在庫から納品できる注文が入ると、ぼくが現場へ行き、「あと何個あったかな」と現物を確認していました。

残数はメモしたり、スマートフォンで写真を撮ったり、頭で覚えたりしていました。その数を注文数と比べ、今回の注文に足りるかを判断していました。

ところが、納品書待ち画面には、すでに判断に必要な数字がありました。注文500個に対して、生産1,500個。生産数から今回の納品数を引けば、残りの1,000個が在庫になります。

新しい機械や難しい仕組みが必要なわけではありません。すでに記録している数字を差し引き、その結果をデータベースへ残せばよい。次に同じ製品の注文を登録したとき、「在庫があります」と画面から提案することもできます。

自動で終わらせず、確認を一つ残す

今回作っている機能では、在庫数そのものは数量だけを記録します。注文に対して在庫が足りれば、新しく加工する必要はありません。そのまま納品書待ちへ移せます。

ただし、システムが勝手に移すようにはしません。「在庫があります。納品書待ちへ移しますか」と確認を出し、ぼくが内容を見てから移します。

今月500個、来月500個の注文があり、今月まとめて1,000個を作る場合も同じです。今月分の納品書を書く時点で来月分まで在庫がそろっていれば、来月分も納品書待ちへ移すか確認します。

計算だけなら自動でできます。それでも確認を残すのは、在庫があるから、この注文はもう作らなくてよいと、ぼく自身が一件ずつ認識したいからです。注文を登録した記憶だけが残り、在庫があるのにもう一度作ってしまう状態は避けたいと考えています。

在庫が足りない場合には、分納中でいったん中断していることも画面に残す予定です。在庫が余った場合と、注文に足りなかった場合の両方を、同じ生産管理の中で追えるようにします。

今はまだ実装途中

在庫と分納の機能は、今まさに実装している途中です。まだ実際の注文で使い、動作を確認した段階ではありません。

今回の処理は、基本的には足し算と引き算です。決めた計算と状態の移動が正しく動かなければ、それは運用以前にプログラムのミスです。まずは、注文数、生産数、納品数、残った在庫数が正しくつながるように作ります。

在庫管理自体は、生産管理システムを作っている会社にとって珍しい機能ではないと思います。それでも、自社には自社の注文の入り方、まとめて作る量、分納の仕方があります。必要なのは、一般的な機能があることだけではなく、自社の仕事の流れに合わせて、必要なところだけを変えられることです。

以前なら、欲しい機能を最初に整理し、外部の業者へ伝え、まとめて形にしてもらう方法を考えていたと思います。しかし、実際に使う前に必要なことをすべて言い切るのは難しいです。作った後で「これは欲しかった」「これは使わなかった」と分かることもあります。

今は、動いている仕組みを使いながら違和感を見つけ、欲しい機能を足していけます。今回の在庫管理も、最初から大きな計画に入れていたものではありません。納品書待ち画面に並んだ500個と1,500個を見て、ここまでできると気づきました。

いらない機能を増やさず、必要な機能だけを足していく。こうやって自社の仕事に合わせて仕組みを育てていけば、ぼくや事務員が頭と現場確認で抱えている仕事を、一つずつ減らしていけると考えています。

実践・執筆M-LABO
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