2万個のロットが、急に終わる

金型の段取り担当者にとって、数日かかるロットが突然終わったように見える。既存の加工データから終了予定時刻を計算し、早く終わる順に並べる画面を作った。次の段取りを先回りするための判断材料にする。

次の段取りを先回りするために、加工の終了予定時刻を画面に出した

うちの工場では、金型を取り付ける段取り専門の担当者と、加工する人が分かれています。

その段取り担当者にとって、2万個のロットが急に終わることがあります。実際には3〜4日も加工しているのに、ある瞬間に突然「わ、終わった」となるのです。

小さなロットなら、残りの数量を見ながら「そろそろ終わりそうだ」と頭で考えられます。ところが、数日かかるロットになると、いつ終わるのかがだんだん分からなくなります。

ぼくは、プレス加工では機械をどれだけ止めないかが大事だと考えています。稼働状況を取る目的も、動いている時間を眺めることではありません。むしろ、稼働していない時間を見つけるためです。

終了予定時刻が見えていれば、それに合わせて先回りして次の金型や材料を準備できます。準備ができていれば、加工者は段取りを待たずに、そのまま次の加工へ移れます。終わってから気づくと、そこで段取りが始まり、プレスが待つ時間が生まれます。

特に複数の作業者が同じような時間に加工を終えると、段取りが重なります。誰が先に終わるのかを普段から見続け、頭の中で計算する必要がありました。

カーナビの到着予定時刻と同じ考え方

今回、現在加工している仕事の終了予定時刻を一覧で見る画面を作りました。計算に使うのは、すでに工場で取っているデータだけです。

  • そのロットの生産予定数

  • 現在までの加工数

  • 今回の加工における1時間当たりのショット数

生産予定数から現在の加工数を引き、残った数量を1時間当たりのショット数で割ると、残りの加工時間が出ます。昼休みや途中の休憩も考慮して、何時ごろ終わるかを計算しています。

考え方は、カーナビの到着予定時刻と同じです。加工が進むにつれて、終了予定時刻も正確になっていきます。ぼくが見ている範囲では、誤差は3〜4分程度に収まることが多いという実感があります。

次に終わる仕事を、上から順に見る

画面には、機械名、製品名、工程、加工者、納期、終了予定を表示します。加工中の仕事は、終了予定が早い順に上から並べました。

一番上を見れば、次にどの仕事が終わるのか分かります。終了予定時刻を見ながら、次の段取りをいつ始めるか考えられます。

行の色で機械の状態も分かります。緑は加工中、黄色は電源が入っていて仕事が未設定、グレーは仕事が設定されていて電源が切れている状態です。

掲載している画面では、製品名と加工者名を架空の内容へ置き換えたサンプルデータを使用しています。

加工中の仕事を終了予定が早い順に並べた一覧画面
終了予定が早い順に加工中の仕事を表示。表示内容はサンプルデータ
機械ごとの加工を時間軸に並べたチャート。赤線は現在時刻、グレーは電源OFFを示す
補助画面:機械ごとの加工を時間軸で表示。こちらもサンプルデータ

次は、現場へ置く

画面は実装し、現場のダッシュボードから開けるところまでできました。段取りする人に使ってもらうのは、これからです。

できれば1920×1080の画面へ常時表示し、通りがかったときに一目で確認できるようにしたいと考えています。毎回操作して画面を開くのではなく、見れば次に終わる仕事が分かる状態です。

この画面を作るために、新たなデータの取得やデータベースの変更はしていません。すでに持っていたデータを、段取りの判断に使える形へ並べ直しました。

データを集めるだけでは、現場は変わりません。ぼくはこの終了予定時刻を、段取りする人が迷わず先回りし、プレスを待たせないための判断材料にしたいと考えています。

実践・執筆M-LABO
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