人の注意力だけに頼ってはいけない

納期と人手不足に追われる中で、3工程目を飛ばしてしまいました。その失敗をきっかけに、図面を起点に標準工程表を作る仕組みを作りました。人の注意力だけに頼らない現場づくりについて書きました。

納期に追われていた時、ぼくは3工程目を飛ばしました。

本来なら、1工程目、2工程目、3工程目、4工程目と進むところを、1工程目、2工程目、4工程目という順番で加工してしまった。

3工程目を飛ばしても、加工自体は進んでしまう工程でした。

だから、その場では工程を飛ばしたことに気づきにくかった。

今、工場は本当に忙しい状態です。

納期に追われ、人も足りない。毎日、ギリギリのところで仕事をしています。

そういう状況では、普段なら失敗しないようなことでも、起きることがあります。

今回の工程飛ばしも、まさにそうでした。

この失敗をきっかけに、標準工程表は必要だとあらためて認識しました。

人数の多い会社であれば、品質管理の部門があり、標準工程表を専門に作る人がいると思います。

しかし、小さな町工場では、標準工程表を専門に作る人がいないことがあります。

必要だと分かっていても、目の前の仕事を優先して、標準工程表を作らないまま加工を始めてしまう。

ぼくの会社でも、そういうことがありました。

ただ、忙しい時ほど、人の記憶や注意力だけに頼るのは危険です。

だから、どれだけ忙しい時でも、工程の抜けに気づきやすい仕組みを作ることにしました。

標準工程表は、各会社で作るものです。

ただ、品質管理のために作られた工程表でも、現場で本当に必要な情報が十分に入っていないことがあります。

見た目は分かりやすくても、実際に作業する人が確認したい情報が足りない。

その理由の一つは、現場で使う情報を、現場以外の人が整理している場合があるからだと思います。

ぼくが考えたのは、標準工程表を図面から作る方法です。

現場で一番情報量が多い資料は、やはり図面です。

寸法、公差、形状、加工に必要な情報が図面に入っています。

その図面から、測るべき場所を抜き出して別の表にするのではなく、図面そのものに測定箇所を示した方が分かりやすい。

そこで、金型を登録する時に図面も登録できるようにしました。

登録した図面の中から、測定したい場所を矢印で指します。

そこに1番、2番、3番と番号を付ける。

「ここを測定してください」

「公差はプラスマイナス0.2ミリです」

「ここはこのように注意して測ってください」

このような内容を、図面上に入力できます。

標準工程表は、図面と一体にします。

表面には図面を載せ、裏面に標準工程表を載せる。

裏面には、1工程目、2工程目、3工程目、4工程目というように、製品の全工程を記載します。

工程名、工程内容、金型の場所、作業者、数量、検査項目、加工条件なども記録します。

これは、うちの工場で必要な最低限の情報を、分かりやすくまとめたフォーマットです。

この形式にすると、工程を飛ばした時にも気づきやすくなります。

例えば、2工程目まで記入があるのに、3工程目が空欄のまま4工程目に記入されていたら、工程が飛んでいる可能性があります。

工程名が書いてあるので、今どの工程をしているのかも確認できます。

さらに、同じ内容をダッシュボードでも確認できます。

数量、加工時間、加工者などを登録できるため、紙に記入された内容とダッシュボードの情報を照らし合わせることができます。

作業者が次の工程を始める時は、ボタン一つで事務所のプリンターから工程表を印刷できます。

今から作業する工程名だけではありません。

その製品に必要な全工程の工程名、金型の場所、検査項目、加工条件などが印刷されます。

図面の内容を理解している人であれば、標準工程表を約3分で作成できる仕組みです。

標準工程表を作る作業は、時間もかかりますし、内容にも気を使います。

だから、作らなければいけないと分かっていても、後回しになりやすい。

その負担を減らし、図面を登録する流れの中で標準工程表まで作れるようにしました。

現在、この仕組み自体は完成しており、自社工場で使っています。

まだ全ての製品で工程内容が埋まっているわけではありません。

埋まっていない部分は、これから順番に入力していきます。

作業者がタブレットから作業内容を入力できる機能もあります。

今回の仕組みを作ったきっかけは、忙しい現場で3工程目を飛ばしてしまったことです。

普段なら気づけることでも、人が足りず、納期に追われている時には見逃してしまうことがある。

その時に、人の注意力だけに頼るのではなく、工程表や図面、ダッシュボードを使って、工程の抜けに気づきやすくする。

これが、ぼくが標準工程表を作る仕組みを作った理由です。

M-LABOでは、自社工場で起きた失敗をもとに、現場で使える仕組みを作っています。

実践・執筆M-LABO
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