プレス機に5,126円の端末を付けました。現場でつないだのは電源だけです
タブレットの落下と加工完了の送り忘れをきっかけに、M5StickC PlusとRFIDで5,126円の小型端末を実装。既存のMQTT・Node-RED・プレスデータを使い、追加信号配線なしで1台を継続確認している記録です。
一度集めたプレスのデータは、別の画面にも使えました
プレス機の横に、現在の加工数と進捗を表示する小さな端末を付けました。RFIDカードをかざすと作業者が設定され、正面の大きなボタンを押すと加工完了を送信します。使ったのは、以前作ったタイムレコーダーと同じM5StickC PlusとRFIDユニットです。購入当時の価格は、合わせて5,126円でした。

プレス機と端末の間に、新しい信号線は引いていません。端末は現場で電源をつないだだけです。ただし、何もない機械へ端末を付けただけで動いたわけではありません。先にプレスのデータを集め、自由に動かせる状態を作っていたからできました。
タブレットは、置くと壊れ、しまうと忘れる
以前は、作業者へ一人1台のタブレットを渡していました。しかし、プレス機の周りには意外に置き場所がありません。その辺に置くと落ちて、画面が割れました。プレスは形が一台ずつ違うため、固定したまま使えて、写真を撮るときには外せるホルダーを全機械分考えるのも簡単ではありません。結局、タブレットは袋へしまってもらうようになりました。
加工を始めるときは、今もタブレットか現場のノートPCで製品を登録します。問題は、加工が終わったときです。袋からタブレットを出すか、ノートPCの場所まで行き、完了ボタンを押さなければなりません。完了を送らなくても画面上の作業時間はそのまま進むため、送り忘れた状態が残ることがありました。
そこで、情報をたくさん見せるタブレットの代わりではなく、機械の横で絶えず見たいものと、最後に必ずしたい操作だけを小さな端末へ移しました。
現場で電源だけをつなげた理由
うちの12台のプレスには、すでにESP32が付いています。プレスの信号を社内NASで動くNode-REDへ送り、加工数などをデータベースへ蓄積しています。Node-REDは、現在のカウンター、作業者、予定数といったリアルタイムの情報も持っています。
今回したことは、その情報をMQTTで小型端末へ流す処理を足したことです。端末には機械番号、Wi-Fi情報、プログラムを事前に書き込みました。だから現場では、電源をつなぐとWi-Fiへ接続し、自分の機械の情報を受け取ります。追加配線が要らなかったのは、端末が直接プレスの信号を読むのではなく、すでに集めているデータを受け取るからです。
Webダッシュボードで完了ボタンを押しても、小型端末の正面ボタンを押しても、Node-REDへ送る完了信号は同じです。完了時刻や最終加工数の確定、データベースの更新はNode-REDが処理します。見る場所と押す場所を変えただけで、処理本体は作り直していません。
小さな画面には、必要なものだけを置いた
M5StickCの画面は小さいため、細かな文章を並べても読めません。表示と操作は絞りました。
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中央に、現在の加工数を大きく表示する
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画面上部の細い線を、作業者ごとの色に変える
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画面下部に、予定数に対する進捗バーを表示する
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製品が未登録ならハイフン、作業者が未設定なら「×」を表示する
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正面の大きなボタンで、加工完了を送信する
作業者はRFIDカードをかざします。上部が自分の色へ変われば、自分を設定できたと分かります。途中で人が交代しても、次の人がカードをかざすだけです。予定数と現在数から進捗バーが伸びるため、数字を計算しなくても、半分、7割、もうすぐ終わりと見当がつきます。
製品や作業者を設定し忘れたときも、普通のカウンターにはなりません。ハイフンか「×」が並び、数字が出たときだけ必要な設定がそろっています。設定忘れや担当者間違いが何件減ったかは、まだ測っていません。ただ、少なくとも設定できているかを機械の前で見分けられる状態にはなりました。
加工が終われば、正面ボタンを一度押します。数字が消え、送信完了の画面へ変わります。ぼくが一番助かっているのは、このボタンです。タブレットを出さずに「ピッと押したら完了なる」。簡単なことですが、毎回行う操作では、この差が大きく感じます。プレス本体のカウンターが見にくい位置にあるときも、現在数と進捗が目の前にあると仕事を進めやすく感じます。作業者からも「全部つけてよ」と言われました。
12台分を作り、付けているのは1台だけ
この端末は、最初から全12台へ付けるつもりで買いました。残り11台も、機械番号、Wi-Fi情報、プログラムを書き込み済みです。それでも現在付けているのは、普通のプレス1台だけです。
当初は、プレス機の近くでRFIDが安定して使えるか不安がありました。全部に付けてから回収するのは大変です。そのため、まず1台で様子を見ることにしました。正確な取付日は記録していませんが、2025年末ごろから使い、冬と2026年の夏を越えています。一度だけRFIDを読まないことがあり、再起動で復帰しました。ぼくが見ている範囲では、MQTT通信が止まったことはありません。深夜2時に自動再起動する処理は、今後追加する案で、まだ実装していません。
また、全員へ業務用スマートフォンを持たせる案もあります。スマートフォンをプレスの近くで使えるなら、情報量の少ない小型端末の役割は変わります。サーボプレスの近くでもRFIDが安定するかは、まだ試していません。便利だからと全台へ付ける前に、次の使い方との役割分担も考えています。「中途半端やけども、すごいあれば助かってる」のが、今の1台です。
大事だったのは、端末よりデータの通り道だった
YouTubeは動画を登録しておくから、見たい人へ別の形で出せます。会計ソフトは仕訳を入力しておくから、決算書の形で出せます。今回の端末も同じでした。MQTTやNode-REDは便利な道具ですが、先にあったのは、プレスのデータを作り、蓄積し、必要な場所へ動かせる状態です。
その状態があれば、Webダッシュボードで見るか、M5StickCで見るかは、入口と出口の違いになります。一つの画面を作るためだけにデータを集めるのではありません。一度作ったデータの流れは、現場で次に困ったことへ使い直せます。
工場ですでに集めているデータが、最初に作った画面の中だけで止まっていないか。新しい設備を足す前に、そのデータを機械の横へ出せないかを確かめてみてください。そこに、追加配線なしで変えられる操作が残っていることがあります。