場所は分かる。それでも、まだ金型管理とは呼ばない
約1200個ある金型の所在を棚番号で記録し、探す人への依存を減らした。ただし登録は100%ではなく、保全履歴も未実装。場所を金型管理のスタートラインとして捉えた記録です。
うちは小さな町工場ですが、1200個以上の金型があります。金型は仕事と一緒に増えていきます。1か月に1回使うものは取りやすい場所へ置き、半年、1年、何年かに1回しか使わないものは奥へ移します。奥の金型を出すには、手前の物を動かさなければならないこともあります。
置き場所は変わります。だいたいの棚は決まっていても、すべてを正確に覚えるのは難しい。場所を知っている人と、分からない人がいました。分かる人がいなければ、複数の棚とパレットを、とにかく探すしかありません。プレスの稼働していない時間が長くなります。
棚には、番号を書きました
そこで、金型の所在をデータベースへ登録する仕組みを作りました。棚には21番、22番というように、マジックで番号を書きました。最初はラミネートで、きれいに貼っていましたが、場所が分かればよいので、棚へ直接書く形に変えました。
現場のダッシュボードで金型番号を入力し、置き場所を登録します。場所が変われば、その場で更新します。標準作業工程書にも金型の場所を数字で表示するため、今は場所を知っている人だけに聞かなくても確認できます。

場所には余裕がありません。棚からパレットを出し、必要な金型を取り出し、加工が終わったら戻します。作業中のパレットを外へ出したままにすると、すぐにパレットだらけになります。だから、できるだけ仮置きをせず、元の棚へ戻す運用にしています。
似た金型を取り違える問題は、今のところほとんどありません。金型自体に番号を振り、製品名も表示しているからです。問題は、金型を見つけた後ではなく、約1200個の中から置かれている棚へたどり着くまででした。
ただし、登録はまだ100%ではありません。使う頻度が変われば、置き場所も変わります。登録漏れや入力間違いも多少あります。みんなで使いながら、少しずつ埋めている段階です。探す時間が何分減ったかも計測していません。うちの工場は、工具や金型を探す時間を含め、5Sもまだ十分ではありません。所在管理は、その時間を減らすための一歩です。
場所は、金型管理のスタートラインでしかない
今のメンテナンス時期は、加工した製品を見て判断しています。不具合が出たとき、不具合が出そうなときにメンテナンスする。それが今のやり方です。
製品の状態を見て人が判断すること自体を、なくしたいわけではありません。問題は、いつ判断し、そこまで何ショット加工し、なぜメンテナンスしたのかが、次に振り返れる形でつながっていないことです。場所を記録しただけでは、金型を使い続けるための履歴にはなりません。
ぼくが考える金型管理には、少なくとも三つの記録が必要です。
-
いつメンテナンスしたか
-
前回から何ショット加工したか
-
なぜメンテナンスしたか
これらが分かって、初めて金型管理と言えると思っています。

データはある。足りないのは入力する画面
必要なデータの土台は、すでにあります。日々の加工結果は金型IDと紐づけてデータベースへ記録しています。前回と今回のメンテナンス日時が分かれば、その間の加工結果からショット数を計算できます。
これから作りたいのは、メンテナンスをしたときに押すボタンです。ぼくがボタンを押し、理由を入力する。日時と金型番号は自動で紐づける。メンテナンス理由はよくあるものを選択式にし、当てはまらない内容はテキストで残せるようにする予定です。
日々の加工結果を記録するデータには、金型IDが入っています。前回と今回のメンテナンス日時の間にある加工結果を集計すれば、何ショット加工したかはデータベースから計算する方がよいと考えています。
ショット数を計算できる土台があることと、正しい数字が出る仕組みが完成していることは別です。ここは実装時に確認する必要があります。
計算より大事なのは、入力を面倒にしないことです。急いでいるから今日は登録しなくていいと思われたら、履歴は残りません。すぐに画面へ入り、ボタンを押し、理由を短時間で残せるUIが必要です。
最初から未来を予測しない
最初から未来のメンテナンス時期を予測しようとは考えていません。まずは履歴を残し、頻繁にメンテナンスする金型や、外部へメンテナンスを依頼するときに過去を振り返れるようにする。何万ショットでメンテナンスすると決めている金型なら、将来アラートへ進める可能性はありますが、今はまだ計画に入れていません。
この履歴を毎日眺めることも想定していません。必要なときに過去を確認できることが、最初の目的です。いつ、何ショットで、何が理由だったかが残っていれば、前回と同じ不具合なのか、以前より短い間隔でメンテナンスが必要になったのかを確認する材料になります。そこから先の判断は、人に残します。
場所は分かるようになりました。次は、メンテナンスの時期、ショット数、理由を残す。そこまで進めて、ぼくはこの仕組みを金型管理と呼びたいと思っています。
あなたの工場では、金型を探すための記録ではなく、金型を使い続けるための記録が残っていますか。