1か月先の注文を選んだら、1つのロットが二つに割れた

同じ製品の1か月先のロットを選び、1・2工程目が別ロットに分かれた。禁止ではなく警告と復旧を選んだ修正の記録。

正しい操作だけを通すと、現場の例外まで止まる

新しく作った生産管理Webアプリを見ると、現在加工中の一覧に、同じ製品が二つ並んでいました。同じ製品の注文が重なっているように見えます。しかし、一つは今加工しているロット。もう一つは、1か月先に入っていた別ロットでした。

調べると、1工程目は今加工しているロットに記録され、2工程目は1か月先の別ロットに記録されていました。同じ製品の同じ仕事を加工しているのに、システム上では二つのロットが動いていました。

選択だけで登録できる画面を作った

自社では、どのロットを、誰が、何工程目で加工するかを記録しています。その登録で作業者が迷うのを減らすため、従業員用ダッシュボードの機能とボタンを減らし、文字を長く入力しなくても選択で登録できるようにしました。

1工程目は「新規注文」にあるロットから製品を選びます。加工が始まると、そのロットは「加工中」へ移ります。2工程目以降は、新規注文ではなく、加工中にある同じロットを選びます。

今回は、2工程目の作業者が「新規注文」から製品を探しました。そこには、たまたま1か月先の同じ製品の注文がありました。製品は同じでも、ロットは違います。それを選んだことで、1工程目と2工程目の記録が別々のロットへ分かれました。

ロット管理自体が成り立たなくなる

画面上で同じ製品が二つ並ぶだけなら、表示の問題に見えるかもしれません。しかし、自社は製品名だけではなく、ロット単位で加工を管理しています。1工程目と2工程目が別ロットになれば、どの注文に対する加工なのかを一つのロットとして追えません。

ロットで管理する仕組みを作ったのに、作業者が選ぶ入口で、ロット管理そのものが崩れていました。

最も簡単な修正は、2工程目以降で「新規注文」から選べなくすることです。正しい手順だけを通すなら、それで今回と同じ選び方はできなくなります。

間違いを禁止すると、例外も禁止してしまう

しかし、実際の現場では、1工程目の登録がうまくできていない場合があります。そのときは、2工程目から新しいロットを登録できる道を残しておく必要があります。

システム側が考えた正しい手順以外を禁止すれば、画面は分かりやすくなります。その代わり、想定と違うことが起きたとき、作業者はそこから先へ進めません。現場の例外を消して画面をきれいにするのではなく、例外が起きてもロット管理を崩さない方法を考える必要がありました。

同じ製品の別ロットを確認するアラート画面。ロット番号と納期を表示し、既存ロットへの切り替えを選べる。サンプルデータ
同じ製品の別ロットを確認するアラート。表示内容はサンプルデータ

間違えた後に戻せるようにした

アラートは、次の間違いに気づくための修正です。今回すでに間違えて選んだ来月分のロットは、注文を管理するWebアプリから「新規注文」へ戻せるようにしました。復旧後は、1工程目と2工程目が同じロットへ戻りました。

これで同じ間違いを防げるとは、まだ言えません。アラートを付けてから、同じ選択が起きた場面はまだありません。確認できたのは、誤ったロットを元に戻し、新たにアラートを実装したことまでです。

使う人に合わせて、仕組み側を直す

自社の現場には、パソコン操作に慣れていない人もいます。画面が変わると、それまで覚えた操作を覚え直す負担もあります。その負担を、作業者がコンピューターに弱いからと片付けたくありません。

今回も、作業者に「2工程目は加工中から選んでください」と覚えてもらうだけなら、プログラムを直す必要はありません。しかし、同じ製品の別ロットを選べる画面のままなら、同じことがまた起きる可能性が残ります。

生産管理で、どのロットを、誰が、何工程目で加工しているかを記録する。その入口を迷わず操作できるように考えて作った画面でも、最初の計画通りにはいきませんでした。

間違えた人を責めず、間違いが起きた仕組みを直す。現場で使い、想定していなかった間違いを見つけ、直して、また使う。その繰り返しで、自社の現場に合いながら、ほかの工場でも応用できる仕組みへ近づけていきたいと考えています。

実践・執筆M-LABO
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