領収書を分けてもらえず、現品表を書こうと思った

自社アプリがあっても、取引先指定の現品表を作ることにした。領収書を分けてもらえなかった経験から、効率だけでなく、次も選んでもらうために残す手間を考えた。繰り返す入力はアプリで楽にする構想も記録。

効率化せず、残した方がいい手間もある

ぼくは今、AIを使いながら、自社の仕事に合わせた小さな仕組みをいくつも作っています。注文、生産、現品表など、社内で何度も繰り返す仕事を少しずつ仕組みへ移しています。

取引先の中にも、仕事をしっかりシステム化している会社があります。ただ、その仕組みが会社の境目を越えたとき、こちら側に手作業が生まれることがあります。

取引先から注文書がFAXで届きます。そこには、取引先指定の納品書も一緒についてきます。

こちらは、その納品書を印刷して手書きします。それとは別に、自社の販売ソフトへも同じ納品内容を入力します。取引先の中では整った仕組みでも、こちらには手書きと二重入力が残ります。

さらに今日、箱へ貼る現品表のExcelファイルが届きました。「この形式で作り、印刷してください」という指定です。箱が増えれば、作る枚数も増えます。

うちには、自社の仕事に合わせて作った現品表アプリがあります。必要な情報とトレーサビリティを保てるなら、うちの現品表では駄目なのか。取引先の都合で、こちらの仕事が増えている。最初はそう感じました。

いつもの店で、いつもの領収書を頼んだ

そのとき、以前の会食で起きたことを思い出しました。業界団体の人たちと食事をした店は、以前からよく利用していました。

領収書をお願いすると、これまでは参加者ごとに分けてくれていました。そのため今回も、いつものように「領収書をお願いします」とだけ伝えました。今回も個別にしてもらえると思っていたからです。

ところが、渡されたのは一括の領収書でした。参加者の中には個別の領収書が必要な人がいたため、分けてほしいとお願いしました。

すると店の人は「最初に言ってくれないと、そのような面倒なことはできない」という趣旨の返事をしました。

その場で「次からこの店は使わない」と話したわけではありません。ただ、ぼくは、きっと次からこの店を選ばないだろうなと思いました。

店にとっては小さな面倒でも、そのひと手間で次に選ばれなくなることがある。そのとき、今度は自分の仕事が頭に浮かびました。

書けない仕事ではなかった

店にとって、会計後に領収書を分け直すのは面倒です。その場の会計は終わっており、一度終えた作業をやり直すことになります。

ぼくにとって、取引先指定の納品書や現品表を作ることも面倒です。自社の販売ソフトと現品表アプリがあるのに、別の用紙へもう一度書かなければいけません。

しかし、どちらもできない仕事ではありません。領収書は分けようと思えば分けられる。現品表も、書こうと思えば書けます。

提供する側には面倒なひと手間でも、頼む側は、その対応まで含めて次もお願いするかを決めています。

ぼくは領収書を分けてもらえなかったときに、「それなら、ぼくは現品表を書こう」と思いました。

何でも効率化しなくていい

これまでのぼくなら、なぜこの書式でなければいけないのか、自社の現品表ではなぜ駄目なのかと考えていました。今も、その疑問がなくなったわけではありません。

同じ内容を二度入力する仕事は、できれば減らしたいです。相手と相談して変えられるなら、その方がよいと思います。

ただ、すべての面倒を「非効率だから」となくそうとする必要はない。相手にとって必要で、こちらが少し手を動かせば済むことなら、やった方がよいこともあります。

何でも引き受けるという話ではありません。今回の現品表は、書けないものでも、続けられないほど重い仕事でもありません。単純に、ぼくが面倒だと感じていた仕事です。

その面倒を断った先で、取引先がどう感じるか。領収書を分けてもらえなかったぼくは、もう知っています。

小さな手間で、次も選んでもらう

AIやアプリを使えば、減らせる仕事はたくさんあります。ぼくも、これから自社の仕事をもっと仕組みへ移していきます。

それでも、効率だけでは決めない仕事を残します。相手にとって必要なひと手間まで消してしまうと、こちらは速くなっても、関係は少しずつ弱くなるかもしれません。

領収書を分けてもらえなかった夜、ぼくは次からこの店を選ばないだろうと思いました。そして今日、取引先指定の現品表を見ながら、その夜のことを思い出しました。

面倒でも、書けない仕事ではない。こんな小さなことで選ばれなくなるくらいなら、ぼくはこの現品表を書こうと思います。

後日談

そう決めたぼくですが、指定されたExcelへ毎回手で入力し続けるつもりはありません。

いま企てているのは、すでに作った現品表アプリへ、取引先ごとの分岐を加えることです。その会社を選んだときだけ、指定されたExcelの書式に合わせて現品表を効率よく並べ、必要な項目を自動で入力できるようにしたいと考えています。

現品表は作る。指定された書式にも合わせる。しかし、同じ入力を毎回人が繰り返す必要はありません。

「面倒でもやろう」と決めた直後から、ぼくは意地でも楽にやる方法を企てています。

実践・執筆M-LABO
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